人体には、健康を維持するためのさまざまな機能があります。
皮膚もその機能を担っており、体の一番外側にあって、有害物質や刺激物が体内に入らないようになっています。
皮膚は人体から分泌される脂質で、天然のクリームのようなものです。角質層と皮膚の膜で皮膚の表面をおおうことで、外部から侵入しようとする有害物質や刺激物をシャットアウトするのです。
同時に皮膚に含まれる水分が、外に逃げないような役目も果たしています。
人体のあらゆる細胞には、水分が含まれ、水分が失われると、正常に機能することができません。
健康でみずみずしい肌は、皮脂膜、セラミド、NMFという三つの成分がきちんとは働き、角質層の水分が、適度に保たれている肌をいうことができます。
一方、アトピーの人は、もともと体質的にこれらの成分が不足していると考えられます。
そのため、細胞の中にすき間ができて、皮膚のバリアが弱くなるとともに、細胞内の水分が失われ、細胞内に水分を取り込むこともできず、肌が乾燥しがちです。
乾燥した角質細胞は、はがれやすく、そのすき間からいろいろなものが入り込みます。
刺激物が入れば炎症が起こり、細菌が入れば繁殖して膿となることもあるのです。
また、健康な人の肌は、弱酸性をしていますが、アトピーの人の肌は弱アルカリ性となっています。
アルカリ石鹸にあかを落とす作用があるように、皮膚が弱アルカリ性になると、皮脂や角質細胞がはがれやすくなります。
つまり、アトピーの人の皮膚は、炎症のないときでも角質細胞がはがれやすく、刺激物の影響を受けやすい皮膚なのです。
ですから、アトピーの人の皮膚は、炎症のあるときはもちろん治療が必要ですが、炎症のない時にでも、乾燥を防ぐ手当てが必要となるのです。
つまり、スキンケアをすることによって、低下しているバリア機能を高め、皮膚を良い状態に保つことが重要なのです。
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